新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第7波拡大傾向におけるお願い文書の補足説明

拝啓
平素、長野県透析医会および長野県透析研究会の活動にご理解頂き大変感謝申し上げます。
先週、長野県において、無症状・軽症で自立されている患者さんが自宅待機および外来透析の継続方針となり、今後、同様のケースが多くなるかもしれない、という文書を配信させていただきました。
実際にその後、保健所から維持透析施設におけるコロナ陽性透析患者の外来維持透析を依頼され、困惑したという情報が寄せられております。
今回、長野県透析医会より文書を配信した意図としましては、
① コロナ陽性透析患者の加療方針は原則入院であるけれども、その基本方針を外れて外来維持透析を継続するという方針になった事例が長野県内でも発生したこと、
② コロナ陽性透析患者が多数発生している東京都においては無症状・軽症のコロナ陽性透析患者はかかりつけの維持透析施設で維持透析継続の方針になっていること、
③ 今後、長野県内においても、無症状・軽症の自立したコロナ陽性透析患者の場合には、かかりつけ維持透析施設における透析継続の方針も含めて柔軟に対応する必要性があること、
④ 無症状・軽症の自立したコロナ陽性透析患者に対し、維持透析施設で維持透析を継続することは日本透析医会の通達と矛盾しないこと、
について、長野県内の透析施設の皆様にご理解頂くためのものになります。
そして、コロナ陽性透析患者の維持透析を行わざるを得ないという事態になった場合のシミュレーションを各透析施設でして頂き、自院で対応が可能であるかご検討を促すものになります。
現時点において、コロナ陽性透析患者は原則入院加療である、という基本方針を変更したものではありません。
しかし、今後、無症状・軽症のコロナ陽性透析患者について一律入院という原則だけでは今後の感染フェーズを乗り切ることができない可能性があります。
① どうしても入院させることができない医療状況があり(周辺医療機関に空きベッドが無い)、
② 患者が無症状・軽症で自立しており外来通院が許容できる全身状態であり、
③ かかりつけ維持透析施設でも隔離透析(空間的、時間的隔離)が可能である、
という前提条件が満たされる場合に、やむを得ないオプション選択として「自宅療養+維持透析施設での維持透析」があるとご理解頂ければと思います。
とても難しい問題であり、今後、様々なご意見が出てくると思いますが、長野県透析医会としては皆様からの頂いた貴重なご意見を集約し、長野県感染症対策課と共有して、より良い方針に反映させていきたいと思います。
また繰り返しにはなりますが、可能な限りの感染予防対策をお願い致します。
1)新型コロナウイルス感染対策合同委員会の調査から、ワクチン接種により透析患者の致死率が低下することが報告されています。現在行われているワクチン4 回目接種の確実な施行を促して頂ければと思います。
2)一般的なコロナ感染予防としては、今までの感染対策を地道に厳格に継続させることが何よりも重要となります。
毎回のお願いで恐縮ですが、下記の院内における感染対策の徹底や協力についてあらためて徹底のほどお願い申し上げます。
① 患者教育の徹底(常時マスク着用、手指衛生の徹底、毎日の体温測定と健康状態の把握、体調不良時の事前の電話連絡、他地域への移動・不要不急の外出や旅行は控える、集団での会食を控える、等)、
② 透析室での感染対策の徹底(患者間隔をあける、室内の換気を定期的に行う、環境表面の消毒を徹底する等)、
③ 医療従事者への注意喚起(体調管理と体調不良時の出勤停止、職場における3密の回避、他地域への移動・不要不急の外出や旅行は控える、集団での会食を控える、等)、
④ COVID19疑い患者への感染対策の徹底(空間的・時間的隔離の徹底)、
⑤ 個人防護具の着用(平時より穿刺や返血などの手技は、ディスポーザブルガウンまたはプラスチックエプロン、サージカルマスク、ゴーグルあるいはフェイスシールドを着用する、それ以外の場面でもサージカルマスクは常時着用し手指衛生を徹底する)と環境表面の清掃・消毒の徹底、
※適切に感染対策を行ったうえでの患者への対応は、濃厚接触者にはなりません。
(参考)
※1 第 87 回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年6月8日)
『“効果的かつ負担の少ない”医療・介護場面における感染対策』
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000948595.pdf
※2 日本環境感染学会『医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第4版』
(令和3年11月22日) http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide4-2.pdf
※3 令和2年度厚生労働科学特別研究事業「新型コロナウイルス感染症に対する院内および施設内感染対策の確立にむけた研究」(研究代表者:賀来満夫)
『医療機関における新型コロナウイルスにおけるゾーニングの考え方』(令3年7月28日)
http://www.tohoku-icnet.ac/covid-19/mhlw-wg/images/division/medical_institution/d01_pdf03.pdf
〇高齢者施設向けですが、県から感染対策研修動画の提供がありましたので参考にしてください。
https://youtu.be/jqCLzeYjSPw (※2022年6月1日現在の内容です)
3) オミクロン株は非常に感染力が高く家族内感染が多いのが特徴です。
同居家族からの感染にも特段の注意が必要と思われますので、患者および医療従事者の同居家族の体調変化(発熱など感染症状の有無)についても積極的に確認をして頂ければと思います。
4)患者および医療従事者の同居家族または日常的に接する人に、37.5℃以上の発熱、咳嗽・咽頭痛、味覚障害・嗅覚障害、下痢などの症状があった場合には、症状発症者に積極的にCOVID-19検査を受けて頂くように促すとともに、濃厚接触者となる患者や医療従事者に対しては厳重な体調変化の経過観察と積極的なCOVID-19検査を施行して頂ければと思います。
なお、長野県内においてCOVID-19陽性透析患者が発生した際には、新型コロナウイルス感染症対策合同委員会および長野県透析医会に症例報告をお願いしておりますので、引き続きご協力をお願い致します。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
敬具

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