会長挨拶

小口 智雅

  • 長野県透析医会 会長
  • 社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 腎臓病・透析センター長

2023年7月に会長職を拝命しました相澤病院 腎臓病・透析センターの小口です。挨拶を申し上げます。本会は、長野県における透析医療に貢献し、会員相互の福祉と親睦を図ることを目的に1978年に設立されました。2023年現在の会員は長野県内64の透析施設です。おもな活動として透析医療の、保険診療の適正化に関すること(保険委員会)、災害への対処(災害対策委員会)、研修や啓蒙のための事業(企画委員会)をおこなっています。

日本はいま、少子高齢化・人口減少社会を迎え、医療費増大により保険医療は厳しい状態です。しかし透析を必要とする患者は増え続けており、われわれ透析施設は厳しい財政の中でも、患者のために存続しながら、質の高い医療を提供することがもとめられます。本会は保険診療が適正におこなわれるように会員と情報共有していきます。そして診療報酬の疑問や要望は上位組織である日本透析医会に伝え、問題解決していくことをめざします。

透析は多くの機器、水、電気を必要とすることから、大規模災害がおこれば透析ができなくなる心配があります。本会は災害時透析の対策をまとめ、ホームページに掲載して毎年、災害時透析情報伝達訓練をおこなっています。2023年はじめに支援透析が必要となる事態が県内で発生しましたが、会員の協力のもと、訓練に沿った形で支援透析を行うことができました。しかしまだ、災害対策が十分とはとてもいえません。訓練や実際の体験、国内の事例を参考にして、少しでも実効性のある災害対策を会員とともに考えていきます。

私が研修医だった頃を思い返してみると、現在の透析医療は大きく進化し、隔世の感があります。なかでもエリスロポエチン製剤の登場、C型肝炎ウイルスの発見と治療の進歩、リン吸着剤の進歩やカルシウム受容体作動薬の登場、透析液を清浄化するための技術は、患者の生活の質と予後を大きく改善させたと思います。しかし、まだまだ患者には大きな苦労をかけている透析です。これからも従来の治療を継承・発展させ、新薬の使い方や新しい技術を学び、最善の医療を提供して患者の役に立ちたいです。本会は長野県でおこなわれる学術集会、研究会、研修セミナーを企画・後援し、長野県の透析医療をより進歩させる努力をしていきます。

さらに本会は、腎など臓器移植の啓蒙活動や、透析に至らないようにするための慢性腎臓病や糖尿病性腎症の重症化予防対策にも貢献したいと考えています。また、感染症法上の位置づけが2類から5類に移行したあとも、新型コロナウイルスに対する透析患者の感染対策は必要であり、今後も継続していきます。近年は透析開始時や終末期において、本人の意思や生き方を尊重する考えが広まっています。いまや透析をおこなうだけでなく、患者ひとりひとりの生涯にわたり、さまざまな方面からの診療が必要であり、時代の要望に応えられるように研鑽してまいりますので、本会へのご支援をよろしくお願いします。

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